Dangling Man

Dangling Man (Penguin Modern Classics)
Dangling Man
著者:Saul Bellow
発表年:1944
オススメ度:★★★
英語難易度:★★★
読了日:2019.06.24

あらすじ

舞台は、第二次世界大戦期のアメリカ、シカゴ。
20代後半の語り手、Josephは、陸軍に徴集されるはずが、手続きが遅れ、その間、ただ待たされる羽目に。
そんな彼の、そんな時期の日常が、思索と共に日記形式で綴られる。

私の感想、レビュー

1976年、ノーベル文学賞を受賞した、ソール・ベローの第一作目で、日本語では「宙ぶらりんの男」というタイトルになっています。

ソール・ベローの作品自体、この度、初めて読みまして、本作は、決して、「page-turner」的な小説ではなく、特にこれといって一貫したストーリーがあるわけでもなく、ただ、友人や妻と喧嘩したり、隣人や大家と揉めたり、知人たちの噂話を聞いたり、たまに、哲学的な思索に耽ったりと、その日に起きたことが日記形式で書かれているのですが、それがなぜか面白かったです。

また、自由に平和な毎日を送るよりも、戦争に行くことの方がラクだと感じてしまうという、Josephの様子を見ていて、サルトルの、「L'homme est condamné à être libre.(人間は自由の刑に処せられている。)」という言葉を思い出し、「自由より社会のいいなりになってる方がラクなんだなあ」と思いました。

そして、こうした人間の性質を利用して一部の支配層は色々なことを仕掛けているのだなと、改めて思いました。

ちなみに、英語に関しては、所々、難しい単語も出てきますが、文章自体はそれほど難しいわけではありません。

ただ、当時のアメリカの文化やシカゴの地理を知らないと理解できないようなところも多く、私も、良く分からないことが多々ありました。

以上、本作は、「"apprentice" work」と見なされているそうで、決して、ソール・ベローの最高傑作と言うわけではないようですが、また、壮大な物語というわけでもないのですが、決してつまらなくもなく、読んでいて、色々と思うところのある作品でした。