The Remains of the Day

The Remains of the Day (FF Classics)
The Remains of the Day
著者:Kazuo Ishiguro
発表年:1989
オススメ度:★★★★
英語難易度:★★★
読了日:2014.11.10

あらすじ

舞台は、1956年のイギリス、夏の終わり、主人公の、Stevensは、初老の執事で、長年、仕えていた、Lord Darlingtonは亡くなり、その屋敷、Darlington Hallは、Mr Farradayという、新しい主が引き取ることになった。
そこで、Stevensは、Mr Farradayから、休暇を取り、すこし骨を休めることを、勧められる。
そんな折、以前、Darlington Hallで、女中頭をしていた、Mrs Benn(独身時は、Miss Kenton)から、あまり結婚生活がうまくいっていないことを仄めかすような手紙を受け取り、Stevensは、休暇を利用して、この昔の同僚に、会いに行くことにする。
旅に出ると、Stevensは、過去の回想にふけるようになり・・・

私の感想、レビュー

全体的に、何とも、哀愁感というか、郷愁感というかが、終始、漂いますが、不思議と、読み終わった後に、暖かい気持ちがする、とても魅力的な作品です。

主人公、Stevensの回想と、現在の旅の場面が、交互に、淡々と描かれ、特に、大事件が起こるわけでもないのに、なぜか、読んでいると、止まらなくなりました。

「プロの執事としてのあり方」「dignity」に関する考察が面白く、人生訓的にも、覚えておきたいセリフがあり、また、ラブストーリーとしては、Stevensの気を引こうとする、Miss Kentonと、執事として、結婚をしないことにしている、Stevensとの、ロマンスが、何とも切なかったです。

二回の世界大戦中に仕えた、紳士的で人格者であったものの、不遇であった前の主、Lord Darlingtonに対する想いや、自分がしてきたことは本当に良かったのか、自分の人生の意味を問うようなところも、物悲しく、でも、爽やかで前向きな読後感のする本でした。

本当に、色々な捉え方の出来る作品だと思います。
文章も、非常に綺麗で、読んでいるだけで癒されました。

英語は、所々、難しい単語も出てきて、一つ一つの文が長く、凝っているものもありますが、前述のとおり、文章が非常に綺麗で、正確で気品のある言葉を駆使できるよう、常に心がけている主人公の英語なので、英語学習者には、ちょうど、ニュースのプロアナウンサーの英語のほうが、粗野な言葉遣いの英語より、聞き取りやすいように、スラングが多用されるくだけた英語より読みやすく、格調の高い文章の割には、そこまで、難しく感じないかもしれません。

イギリスの伝統、美しい田舎の風景描写、郷愁漂う世界観、真面目すぎて逆に滑稽で可愛らしくも見える主人公、Stevens、などなど、とても魅力的で、派手な展開はありませんが、爽やかな読後感の残る、素晴らしい作品でした!