The Possessed/Demons

The Possessed (The Devils) (English Edition) Demons: A Novel in Three Parts
The Possessed、Constance Garnett訳
Demons、Pevear and Volokhonsky訳
著者:Fyodor Dostoyevsky
発表年:1871〜1872
オススメ度:★★★★(一回目)
★★★★★(二回目以降)
英語難易度:★★★
読了日:2016.04.02、2017.11.23

あらすじ

舞台は、1860年代、ヨーロッパの影響を受けたロシアの若者たちは、無政府主義、ニヒリズム、無神論、社会主義、革命思想、に取り憑かれ、やがて、街を騒がせる事件を起こす・・・

私の感想、レビュー

(一回目読了時、2016.04.02、Constance Garnett訳)

ドストエフスキーの「悪霊」、この度、初めて、読みました。

本当に素晴らしい作品で、前半は、正直、冗長的に感じる部分があり、また、普通の本の三倍くらいのボリュームがある長編ですので、読むのに結構時間がかかりましたが、特に後半は、怒涛の展開で、面白すぎて止まらなくなり、一気に読んでしまいました!

また、思想的にも本当に興味深く、特に、Kirillovの思想は、アルベール・カミュの「シーシュポスの神話」や、夏目漱石の「行人」に出てくる長野一郎の考え、などなどに通じるものを感じ、ドストエフスキーの影響を受けてなのか、それとも、この思想自体に真理を突いたものがあるのか、とても楽しく読めました。

Le contraire du suicidé, précisément, c'est le condamné à mort.
By Albert Camus(「Le Mythe de Sisyphe」著・Albert Camus)

根本義は死んでも生きても同じ事にならなければ、どうしても安心は得られない。すべからく現代を超越すべしといった才人はとにかく、僕は是非共生死を超越しなければ駄目だと思う
By 長野一郎(「行人」著・夏目漱石)

For whom it will be the same to live or not to live, he will be the new man. He who will conquer pain and terror will himself be a god. And this God will not be.
By Alexei Nilych Kirillov(「The Possessed」著・Fyodor Dostoyevsky)

また、フランス語も勉強している身としては、フランス語も結構出てくるところが嬉しいです。
(私のフランス語力は初級レベルですが、そんな私でも、殆ど理解できるレベルです)

ただ、ロシア人の名前が覚えにくい上に、登場人物が多くて、誰が誰だか分からなくなるところも多く、私は、登場人物をネットでチェックしようと思ったら、この作品の最後の最後のオチが書かれているページを見てしまい、ネタバレされてしまって、それが唯一残念でした苦笑
(ですので、ネタバレされたくない人は、読み終わるまでは、なるべくネットなどで検索しないことをオススメします)

ただそれでも、この作品の素晴らしいことに変わりはありません!

ちなみに、英訳では(原書はロシア語)、「The Possessed」「The Devils」「Demons」の三つのタイトルがあり、私が読んだのは、「The Possessed」です。(ジャケットの画像、左)

ただ、色々と、調べてみると、この訳は賛否あるようで、Robert A. Maguireという方の訳が一番評判が良いようです。

また、この作品には、「At Tikhon's(スタヴローギンの告白)」という、当初、検閲に引っかかり、出版されなかった章があるそうで、これは、私が読んだ版には収録されていませんでしたが、Penguin Classicsの「Demons」には、収録されているようです。

この章は、かなり重要なもので、私は未読なだけに、気になりますね笑
最初からこっちを読んでおけば良かったかなあという感じで笑、この作品をまた読む時が来たら、今度は、こっちを読もうと思っています。

英語は、難しい単語も結構出てきますが、それでも、英検1級くらいの実力があれば、十分楽しめると思います。

以上、ネタバレになってしまうといけないので、あまり詳しくは書けませんが、無神論、自殺、ニヒリズム、などなど思想的にも最高に面白く、特に後半は、物語として、抜群の面白さで、さすが、ドストエフスキーという感じの、素晴らしい作品でした。

私の感想、レビュー

(二回目読了時、2017.11.23、Richard Pevear and Larissa Volokhonsky訳)

一年半くらい前に読んだ、ドストエフスキーの「悪霊」、この度、また読み直しまして、二度目なので、話のオチは知っているのですが、それでも、やっぱり面白い!

特に、今年は、私は、世界史を一から勉強しなおしたので、昨年に読んだ時よりも、ロシアの産業革命、農奴の解放、社会主義、汎スラヴ主義、などなどの、当時のロシアやヨーロッパの時代背景が分かっていたため、より楽しめました。

英語に関しては、難しい単語もたくさん出てきますが、英検1級の1次試験にギリギリ合格できるくらいの実力があれば、辞書なしでも十分楽しめるかと思います。

翻訳に関してですが、私は、一年半くらい前に読んだ時は、検閲に引っかかり削除されたという「At Tikhon's(スタヴローギンの告白)」が未収録の、Constance Garnett訳で読みました。

そして、次に読むときは、それが収録された、Robert A. Maguire訳を読もうと思っていたのですが、色々と迷った結果、やっぱり、Richard Pevear and Larissa Volokhonsky訳で読みました。

この訳にも、「At Tikhon's(スタヴローギンの告白)」は、収録されていて、何と言っても、ドストエフスキーのロシア語の原文に一番忠実との評判だったことが決め手です。

ですが、どうも、Robert A. Maguire訳が、新しくて一番読みやすいとのことです。

ですので、私は、ロシア語が分からないので、また、Robert A. Maguire訳は読んでいないので、聞いたところによるとですが、翻訳を選ぶなら、以下のような感じなるかと思います。

イギリス文学のような古風な雰囲気が味わいたければ、Constance Garnett訳、
ドストエフスキーの原文に忠実なものが読みたければ、Pevear and Volokhonsky訳、
とにかく読みやすさ重視であれば、新訳の、Robert A. Maguire訳。

He for whom it will make no difference whether he lives or does not live, he will be the new man. He who overcomes pain and fear will himself be God. And this God will not be.

My friend, the real truth is always implausible, did you know that? To make the truth more plausible, it's absolutely necessary to mix a bit of falsehood with it.

along with happiness, in the exact same way and in perfectly equal proportion, man also needs unhappiness.

とにかく、登場人物たちの思想が面白くて、読んでいて飽きず、物語としての面白さも抜群で、確かに、前半はストーリーの展開が遅いので、退屈に感じられる部分もありますが、後半は、次々に様々な出来事が起こり、ストーリーに惹き込まれて、一気に読んでしまう、素晴らしい作品だと思います!

登場人物リスト

主な登場人物は、以下の通りです。

● Stepan Trofimovich Verkhovensky
(元大学教授で、Nikolaiの家庭教師だったことから、Varvaraの食客で、語り手とも親しい)
● Pyotr Stepanovich Verkhovensky
(Stepanの息子で、何やら革命運動のようなことを行っている?)

● Varvara Petrovna Stavrogina
(Skvoreshnikiという領地の、大地主で未亡人)
● Nikolai Vsevolodovich Stavrogin
(Varvaraの息子。ハンサムで頭が良く、多くの若者は彼に心酔)

● Lizaveta Nikolaevna Tushin
(Varvaraの友人であるPraskovyaの娘。知的で美しく裕福な若い女性)

● Marya Timofeevna Lebyadkina
(足の不自由な白痴の女性)
● Captain Lebyadkin
(Maryaの兄。大酒飲み)

● Andrey Antonovich von Lembke
(知事)
● Julia Mikhaylovna von Lembke
(Andreyの妻)

● Fyodor Fyodorovich "Fedka the Convict"
(脱獄囚)

● Alexei Nilych Kirillov
(独特の思想を持つ技師。Shatovとは、同じ家に住む親友)
● Ivan Pavlovich Shatov
(Varvaraに仕えていた従者の息子。Pyotrの組織を抜けようとする)
● Marya Ignatievna Shatova "Marie"
(Shatovの元妻)
● Darya Pavlovna
(Shatovの妹)

● Sergei Yegorovich Liputin
(Pyotrの組織した「quintet(五人組)」のメンバーの一人。役人でフーリエ主義者)
● Lyamshin
(Pyotrの組織した「quintet(五人組)」のメンバーの一人。郵便局に勤める)
● Tolkachenko
(Pyotrの組織した「quintet(五人組)」のメンバーの一人。)
● Virginsky
(Pyotrの組織した「quintet(五人組)」のメンバーの一人。)
● Shigalyov
(Pyotrの組織した「quintet(五人組)」のメンバーの一人。Virginskyの妻の弟)
● Erkel
(Pyotrに心酔する少年)

● Arina Prokhorovna Virginsky
(Virginskyの妻で、産婆。)