Of Human Bondage

Of Human Bondage
Of Human Bondage
著者:W. Somerset Maugham
発表年:1915
オススメ度:★★★★★
英語難易度:★★★
読了日:2015.06.09

あらすじ

舞台はイングランド、生まれながらにして、内反足(club foot)という障害を抱えた主人公、Philipは、9歳で、両親を亡くし、叔父である牧師夫婦に預けられる。
障害が原因で、いじめ、偏見、差別、などなど、様々な困難を経験する中、幸福とは何か、生きる目的とは何か、人生の意味、この世の真理を見出す、彼の半生が描かれる。

私の感想、レビュー

この本は、存在自体は、ずいぶん前から知っていたのですが、ずっと気になっていたのに、読めていなかった作品で、この度、読み終えました。
感想は、素晴らしい!の一言で、評価は、文句なしの、星5点(★★★★★)満点です!

If it were possible for men to prefer pain to pleasure the human race would have long since become extinct.

The only reason that one paints is that one can't help it.

What happens to our work afterwards is unimportant.

Sin was a prejudice from which the free man should rid himself.

他にも、引用したい文が山ほどある、人生の教科書と言ってもいいような、示唆に富む内容で、特に、最後に、Philipが悟るところは素晴らしく、後半は、夢中で読みました。

ただ、ストーリー自体は、先が読めるところが多く、意外性は少ないかもしれません。
また、人の身体的特徴を馬鹿にしたり、障害を理由に人を差別したり、愛と言う名のお互いの都合の押し付け合いを繰り返したりと、人間の醜さが、至る所で描かれ、Philipが、何度もひどい目に遇うので、読んでいて、こっちまで胸が痛むシーンが多かったです。
特に、Mildredという女性が出てきますが、彼女が出てくるシーンは、私にはPhilipの行動が理解できず、「やめとけ!Philip!」という感じで笑、読んでいて辛かったです笑

ちなみに、「bondage」は、以下のような意味で、「Of Human Bondage」は、「人間界の縛りについて」「人間の奴隷状態について」というような意味になると思います。

the state of being another person's slave
Cambridge Advanced Learner's Dictionary 4th Edition より引用)

自我の観念と所有の概念。そこから生まれる様々な欲望と執着。その欲望と執着の奴隷と化してしまうのが人間と言う生き物で、Philipが、それに散々苦しみ、そこから解放されていく過程が描かれます。

英語に関してですが、さすが、本格的な文学作品と言った感じで、難易度は高めです。
文章自体は、読みやすいのですが、難しい単語がたくさん出てきて、英検1級ギリギリ合格レベルでも、大部分は理解でき、あらすじは楽しめると思いますが、細部まで完璧に味わえるようになるには、最低でも、認識語彙、1万5千語位の語彙力が必要と思われます。
また、フランス語も少し出てきますが、私でも辞書なしでほとんど分かるレベルなので、初級フランス語の知識があれば、問題ないかと思います。

ちょうど、100年前に書かれた作品ですが、さすがに、文章もレベルが高く、ボリュームもあり、何より、内容が素晴らしい、「劣等感に悩んでいる人」「過剰な自意識に振り回されている人」「世の中に疲れている人」「生きる意味が分からない人」「私は自分の英語力に自信がある!という人」などなどにオススメな、イギリス文学の傑作だと思います!