Lolita

Lolita (Vintage International)
Lolita
著者:Vladimir Nabokov
発表年:1955
オススメ度:★★★★★
英語難易度:★★★★
読了日:2015.06.20

あらすじ

主人公で本作の語り手、37〜38歳の大学教授である文学者、Humbert Humbertは、子供の頃に恋した、Annabel Leighという少女が忘れられずにいた。
それが原因か、彼は、nymphet(9〜14才の少女)しか愛せなくなり、そのことで、結婚も上手く行かず、少女の売春婦を買ったり、精神衰弱で精神病棟に入院したりする。
その後、執筆のため、ヨーロッパから、アメリカ、ニューイングランドの小さな町ラムズデイルに引越し、その地で、色々な偶然が重なり、12歳の少女、Dolores Haze(通称「Lolita」)に出合い、一目ぼれする。
そんな彼が、Lolitaを手に入れるために・・・

私の感想、レビュー

ロリータ・コンプレックスの語源となったこの作品ですが、その魅力は何と言っても、その濃厚な文章で、その豊富な語彙と多彩な比喩に圧倒されました!
評価は、文句なしの、星5点満点(★★★★★)です!

内容については、児童性愛という「controversial」なテーマですが、直接的な性描写は無く、キスシーンがあるのみで、あとは、ロリータの肉体的魅力と、主人公ハンバートの彼女への思いが、独白体で綴られている、完全な芸術作品です。

芸術作品にはひとつとして猥褻なものはない。それが猥褻になるのは、それを見る人間が猥褻な場合だけだ。 By エゴン・シーレ

とにかく、一文一文、表現力がハンパなく、その英語は、私が今まで読んだ中でも、最も難しい部類に入ります。
難しい単語がしょっちゅう出てきて、文も長く凝った物が多く、比喩表現が多く使われており、ローマ神話やシェイクスピアの作品についての言及など、背景知識を知らないと、理解できないところも多いです。

また、フランス語も結構出てくるので、辞書を引けば、私でも、ほとんど理解できる程度のレベルですが、初級〜中級レベルのフランス語力も必要かもしれません。
ほんの少し、ラテン語も出てきます。

とにかく難解な作品で、「これを辞書なしで完璧に理解できる人なんているのか?」と思うほどの難しさです。
単語数でいうと、辞書なしで読んで、認識語彙、1万語位の語彙力があれば、何とか、あらすじは楽しめる、細部まで完璧に理解するには、少なくとも、2万〜3万語以上の語彙力が必要と思われます。

ただ、その難易度とは裏腹に、とにかく美しく濃厚な文章に惹かれて、ストーリーも、クライマックスは、ハラハラドキドキさせられるところがあって面白いので、私は、それほど苦労せずに読んでしまいました。
といっても、難しくて理解できていない所だらけですが笑、Kindle版で読んだので、紙の辞書よりもはるかに楽に、分からない単語をすぐに辞書で引けて、それが読みやすかった理由の一つかもしれません。

あと、「Foreword」で、この物語の登場人物達が最終的にどうなるのか、書かれてしまっているので、もしかしたら、まえがきは、本編を読み終えた後で読んだ方が、より楽しめるかもしれません。

国語辞典で「芸術」を引くと、たいていの辞書には、「美的価値を創造すること」「美を表現すること」というような意味合いのことが載っていると思いますが、これらの定義を踏まえると、この「ロリータ」はまさに「芸術」そのもので、とにかく文章が美しい、Amazon.comでも、「100 Books to Read in a Lifetime(一生のうちに読むべき100冊)」にも選ばれている通り、一生のうちで一回くらいは読んでおいて損は無い、アメリカ文学の傑作です!